• 2020年12月8日21:59:55更新

着物生地に新たな命を吹き込む。ANTOSTOKIOデザイナー・ラファウ氏の挑戦

2020年、着物文化を新たな形でファッションに取り入れたAntos Holdings株式会社の新ブランド「ANTOSTOKIO」が誕生。日本の伝統文化と外国人デザイナーの感性を掛け合わせた、新感覚のストリートファッションの魅力をご紹介します。

2020年に誕生した新進気鋭のブランド「ANTOSTOKIO」

着物は日本が長きにわたって育んできた伝統衣装。けれども、洋服文化の普及とともに日常的に着用される機会は減ってしまい、今や礼装やお茶席など限定的な行事服としての色が濃くなってきています。

そんな敬遠されつつある着物に、ファッションとしての新たな可能性を提案しているのが、オランダ/ポーランド人デザイナーのアントス=ラファウ氏が立ち上げたブランド「ANTOSTOKIO」です。

ラファウ氏は「GIORGIO ARMANI」や「GAP EUROPE」など有名ブランドでデザイナーを務めた実力派。

子どもの頃にポーランドで観たNHK連続テレビ小説「おしん」や日本のファッションデザイナーが手がける「Yohji Yamamoto」「COMME des GARCONS」などの影響を受けて日本に関心を持ち、今や寺社や能、歌舞伎など伝統文化にも興味の幅を広げているのだそうです。

そんなラファウ氏がプロデュースする「ANTOSTOKIO」は、着物など古き良き日本の伝統と現代のストリートファッションを融合させたユニセックスなアイテムを展開。

Sustainable(サスティナブル)をモットーに、義務感からくる堅苦しいアプローチではなく、日常生活に自然な形で溶け込ませることによって、"楽しく、美しく"伝統を継承していくことを目指しています。

海外ではすでに高い評価を得ており、イタリアの有名セレクトショップ「DAAD DANTONE」では日本でのリリースに先駆けてジャケットが展示・販売されています。

「ANTOSTOKIO」のココがスゴイ!

呉服屋と連携して反物を洋服生地として再利用

「ANTOSTOKIO」は多くプロダクトにおいて、着物生地を素材として使用。呉服屋と連携して、着物の需要低下等の理由から蔵に眠っている反物を調達し、それらを使って洋服やバッグ、帽子などのファッションアイテムを製作しています。

匠の技術が詰まった高品質な生地であるうえ、ひとつの反物から数量のアイテムしか作り出せないため、レア感があるのも魅力です。

敬遠されがちな伝統モチーフをファッショナブルに意匠化

さらに、デザインに伝統的意匠を溶け込ませている点もポイント。

江戸を代表する文化である浮世絵や、性的なイメージの強い緊縛などの伝統モチーフをファッションアイテムにさり気なく落とし込み、エッジイでファッショナブルなストリートスタイルに仕上げています。

今後も期待が高まるラファウ氏の飽くなき探求心

生地やデザインに日本文化の要素を取り込みながら、トレンド感のあるスタイリッシュなファッションアイテムを生み出す「ANTOSTOKIO」。

今後は過去に作られた柄や模様などを再現したオリジナル生地の生産や、アイヌ織物を使用したプロダクトの作製なども検討しているのだそう。

「外国人としての感性と日本の伝統をミックスし、新たな化学反応を生み出したい」

そう語るラファウ氏の意欲的な挑戦は、サスティナブルな伝統文化を発展させる新たな一手となるはずです。

カジュアルウェアとしては縁遠くなりつつある着物を身近なものへと再帰させる「ANTOSTOKIO」流のスタイルを、ぜひあなたも体感してみてはいかがでしょうか?

この記事のライター

さない ちえ

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