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アンティーク着物万華鏡 ―大正~昭和の乙女に学ぶ着こなしー|弥生美術館・竹久夢二美術館

抒情画 (じょじょうが)、日本画、着物のトルソー展示を含む服飾資料など、アンティーク好きにはたまらない約500点の貴重な作品が並ぶ展示会が弥生美術館・竹久夢二美術館(東京・文京区)で開催中です。

「着物にチャレンジしたいけれど、ルールが難しそう」と敬遠する方も多いようですが、本来着物とはそれほど厳密なルールに縛られるものではなく、もっと自由に楽しんでいいはずなのです。

それを証明してくれるのが、戦前の女性雑誌の表紙絵や口絵など、抒情画(作者の感情を絵に反映させて描き表した作品)とも呼ばれるイラストレーション。

当時、重要なファッション情報でもあった抒情画によると、着物の着付け方はけっして一様ではなく、着る人の好みや個性を反映し、千差万別だったことがわかります。洋服と違い、着物の色柄合わせが難しいとお悩みのコーディネートにおいても、抒情画は大変参考になります。大正~昭和初期の着物、帯、半襟などには、ほとんどすべてに色柄が入っており、着物ファッションの気軽さが読み取れます。

また、庶民の暮らしぶりを描写した戦前の文学にも、着物を着こなすヒントが隠れているのです。

本展では、抒情画や文学作品におけるアンティーク着物の着こなし方に注目。角度によって様相を変える万華鏡のように、着物も着付けやコーディネートによって印象が変化する様を見て楽しめる展覧会になっています。

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✤ みどころ1 ✤
抒情画をアンティーク着物で再現。さらに、同じ着物の別コーディネートも提示。
現代人には悩ましい、着物のコーディネート術を学べます。

✤ みどころ2 ✤
"着物警察"なんて怖くない!戦前の多彩な着物の着こなしを紹介。
今よりもむしろ昔はもっと自由なんです。現代の私達がより魅力的に着物を着こなすヒントを発見。

✤ みどころ3 ✤
文豪の愛用品や書簡、当時の装飾品コレクションなど初公開資料も多数展示!

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◆ 抒情画と着物
大正~昭和初期に雑誌の表紙や口絵で活躍した抒情画家たちは、ファッションリーダー的な存在でもありました。写真が未発達だった当時、着物や洋服を色美しく見せるには、絵が最も適していたのです。

本展では、抒情画家たちが描いた着物姿の女性を多く紹介しています。一部の作品については、彼らが描いた着物を、アンティーク着物によって再現。さらに、同じ着物に、スタイリスト・岩田ちえ子が異なる帯や半襟、帯揚げ、帯締めを合わせたコーディネートも展示しています。一枚の着物が組み合わせ方によって、まったく別の雰囲気に変身する醍醐味を味わえるでしょう。

◆文学と着物
戦前の文学に、当時の着物事情を見ていきます。今回とりあげる徳田秋聲、吉屋信子、菊池寛は、大正から昭和の初期にかけて活躍した小説家ですが、いずれも、時代の風俗を丹念に描写したことで知られる作家です。つまり彼らの作品には、現在アンティーク着物と呼ばれている着物の情報が、豊富に含まれているのです。そんな小説家たちが書いたヒロインの着物姿を、文章や挿絵を手掛かりにしながら再現しました。

◆ 長襦袢(ながじゅばん)の魅力 ~着物の下の遊び心、女心~
これまで顧みられることのなかった襦袢の魅力を紹介する初の展覧会。
スタイリスト・岩田ちえ子が100 点以上所蔵している襦袢の中から、とくに文様の美しいもの、おもしろいものを選んで約20 点紹介します。

大正~昭和まで、着物姿の大事な要素であった「襦袢」ですが、現代にあっては、「下着」という位置づけとなりつつあり、振りや袖口から見えていると、はしたないと言われることさえあります。ところが、当時の美人画などを見ると、振りや袖口からこぼれる襦袢は、地味な着物に華やかさを添えるための、大切な「色彩」だったことがわかります。

また、現代ではほとんど白や淡色の無地になってしまった襦袢ですが、戦前は、花柄をはじめとし、幾何学文様や動物柄
など、多種多様な文様がありました。中には、気球や、お座敷遊びに興じる人々を描いたものまであり、隠れたところに
大胆な文様を着て楽しんでいた日本人の遊び心がしのばれます。

着物の展示に併せて開催し、襦袢の魅力を再発見していただく本展示会は必見です。


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◉ 着物スタイリスト:岩田ちえ子
1980 年代から雑誌、広告、TV等の仕事を手掛ける。写真家・荒木経惟氏の作品登場モデルの「着物姿」を担当して37 年。その数は約1000 人に及ぶ。着物姿で美人画のような写真を撮る参加型写真アートプロジェクト「ロマン写真館」を主宰。


◉ 展示に合わせ、河出書房新社より書籍刊行
・『アンティーク着物万華鏡』中村圭子・中川春香/編著 岩田千恵子/着物スタイリング
・『長襦袢の魅力 ~着物の下の遊び心、女心~』 岩田千恵子・中村圭子・中川春香/編著

◉ ギャラリートーク開催
7/20(土)、8/11(日)、9/22(日) 午後2 時~ 詳細は公式ホームページで告知。

◉ About 弥生美術館・竹久夢二美術館
弥生美術館は1984 年、竹久夢二美術館は1990 年に開館しました。二館は渡り廊下で接続しており、入り口は一か所です。弥生美術館は、高畠華宵をはじめとする大正から昭和30 年代までの挿絵画家の作品を中心に展示、竹久夢二美術館は、夢二が〈大正ロマン〉と呼ばれる時代のイメージをつくった美人画やデザインの作品を展示しています。3か月ごとに年4回の企画展を開催しています。


◉ 休館日:月曜日
ただし、7/15、8/12、9/16、9/23(月)は開館、7/16、9/17、9/23(火)休館

◉ 公式サイト:http://www.yayoi-yumeji-museum.jp
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このイベントの投稿者

KIMONO BIJIN

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